矯正治療の痛みについて
ワイヤー矯正でも、インビザライン矯正でも、矯正治療は歯に力をかけて動かしていく治療方法であるため、どうしても痛みを伴います。しかしながら、矯正方法により、痛みの種類や度合は、大きく異なります。
痛みを言葉で表現することはとても難しく、正確にお伝えすることはできないかもしれませんが、矯正治療中に感じる痛みについて、自ら矯正治療を体験した銀座クリアデンタルのドクターや、患者様のお話をもとに、比較してみたいと思います。
ワイヤー矯正の痛み
ワイヤー矯正には、大きく２種類の治療方法があり、歯の外側にワイヤーとブラケットをつける通常のワイヤー矯正と、歯の内側にワイヤーとブラケットを付ける舌側矯正（裏側矯正）があります。
通常のワイヤー矯正では、歯が動く痛みに加え、口の内側にワイヤーやブラケットが当たる痛みを伴います。口の内側の皮膚はとても柔らかいので、ワイヤーやブラケットで傷つけられて、傷が口内炎になってしまうことが多々あります。歯が動く痛みだけでなく、傷や口内炎の痛みを心配しなくてはなりません。
スポーツや楽器の演奏をされる方は、口の外側から力や衝撃を受けることが多く、口の中の傷や口内炎が多くなる傾向にあります。
一方、舌側矯正（裏側矯正）は、外側から矯正装置が見えない点で審美性に優れていますが、最も喋りにくい矯正方法で、治療をはじめて１～２か月は舌が傷だらけになりヒリヒリします。歯の動く痛みは、通常のワイヤー矯正とほとんど変わりありませんが、食事や会話しにくく、日常生活に支障をきたすことがあります。歯の内側にワイヤーをすると、歯に力がかかりにくく、矯正治療の期間が通常の矯正よりも1.5倍ほど長くなるために、痛みを伴う期間が長くなります。
インビザライン矯正の痛み
マウスピースにもいくつかの種類があり、毎回の診察で型を取ってつどマウスピースを作成するものと、インビザラインの様に、最初に一度型を取って、目的の歯並びまで、すべてのマウスピースを設計するものがあります。マウスピースの素材等により、力のかかり方等も多少異なります。
マウスピース矯正では、新しいマウスピースに換えた直後に、マウスピースをはめると、歯が圧迫され、動かそうとする歯の周りが少し締め付けられる様に感じますが、数時間で痛みは弱くなり、さらに、日に日に痛みが無くなっていきます。
インビザラインでは、２週間に一度、マウスピース新しいマウスピースに換えていきますので、毎回、この繰り返しになりますが、治療が進むにつれ痛みは弱くなっていきます。
マウスピースでは、はめたり外したりする時に痛みが発生しますが、この痛みは一時的なものです。意外かもしれませんが、マウスピースを外した際にジワーっと鈍い痛みを感じる患者様が多くいらっしゃいます。マウスピースで力がかかっていた歯が解放されて、元に戻ろうとするために発生する痛みで、食事等をして歯に力を加えると、痛みが増すことがあります。
マウスピースで歯全体を覆ってしまうので、ワイヤー矯正の様に、口の中や舌を傷つけることはありません。歯並びの悪さもあって、口内炎に悩まされていた方が、マウスピースをはめた途端、歯並びは治っていないのに、全く口内炎が出来なくなることは良くあります。
インビザラインでは、２週間に１度新しいマウスピースに交換するので、月１回ワイヤーを調整するよりも、一度にかける力が少なく小さな痛みで済みます。
最後に
過去にワイヤー矯正を経験されて、後戻りのためにマウスピースで矯正をされた患者様は、インビザラインではほとんど痛みを感じないとおっしゃる程、痛みの強さや種類は違います。ワイヤー矯正も、インビザラインも、両方試してから決めることが出来ないのがとても残念ですが、矯正治療を選択される際には、是非、ドクターのアドバイスや、患者様の声をご参考になさって下さい。